家族性と遺伝性
[2024.06.06]
患者さんから「親が心筋梗塞だったので、自分も遺伝しているのではないか」との相談をいただくことがあります。そこであげられる病名は、心筋梗塞に限らず、脳梗塞だったり糖尿病だったりとさまざまです。
血縁者の中に同一の疾患が認められることを、医学的に家族性といいます。たとえば、家族性高コレステロール血症は、高LDLコレステロール血症、早発性冠動脈疾患、腱・皮膚黄色腫を3主徴とする疾患で、国内では約300人に1人程度いるとされています。診断基準として、家族歴、つまり、近親者で同じ診断の人がいるかどうかが含まれます。
一方、遺伝性とは、遺伝的要因がはっきりしている場合にのみ用いられる表現です。上述の家族性コレステロール血症は、遺伝子の変異が原因であることがわかっており、家族性のみならず遺伝性とも表現できます。このように、家族性といわれるものの多くが遺伝性と考えられますが、必ずしもイコールではありません。
また、心疾患や脳血管疾患、がんの多くは、仮に家族的または遺伝的要素があったとしても、その発症には生活習慣が大きく関わっています。つまり、適切な生活習慣が身についていれば、こうした疾患の発症をある程度抑制できるともいえます。まずは、ライフスタイルを見直してみましょう。