雑誌といえば、漫画誌や週刊誌など、気軽に読むことのできる大衆的な書籍を思い浮かべます。しかし、医学の世界での雑誌は、趣がガラリと異なります。実験や診療データから導き出された新しい知見を、いち早く世界に発表するための科学誌を指します。”The Lancet”や”The New England Journal of Medicine”といった名門雑誌に掲載された論文は、私たちにとって、日常診療を高いレベルで維持し続けるための、頼りになる指針です。

また、ポスターも、一般的なイメージと学術的なそれとでは、大きく変わります。街で見かける商品や選挙のポスターと違い、たとえば、学会の学術集会で発表する際に作成するポスターには、表やグラフなどのデータがズラリと並びます。先日、熊本県で開催された抗加齢医学会総会で、久しぶりにポスターによる研究発表をしましたが、見てもらいたい解析結果をどのようなレイアウトで1枚のポスターにまとめるか、四苦八苦しました。

雑誌とポスターのいずれにも共通しているのは、伝えたいことをいかにわかりやすく示すかが大切であるということです。その点において、若いころに経験した新聞記者の仕事も、同様です。また、検査結果や病状を患者さんに説明する際に、最も求められる能力のひとつともいえるでしょう。