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お薬と偽薬

[2023.11.02]

病気に対する治療法の進歩には、めざましいものがあります。ロボットを用いた手術であったり、合併症の少ない放射線治療であったり、学生時代には夢物語であった治療が汎用化されつつあります。

そんな中、内科的な慢性疾患に対する治療の柱である薬物療法においても、新しいお薬が次々に登場しています。循環器の分野では、近年、心不全に有効とされる新薬がたて続けに発表されました。また、高血圧や糖尿病に対するお薬も、従来にはない作用をもったものが相次いで登場しています。

ところで、お薬の成分が入っていないお薬(厳密には、お薬ではありませんが)をご存じですか。医療の世界では、偽薬(プラセボ)といいます。たとえば、不眠の訴えが続く患者さんに、睡眠薬を処方しますとお伝えした上で、デンプンなどでお薬に似せてつくられた錠剤をお出しすると、不眠が改善することがあるとの報告があり、これをプラセボ効果と呼びます。最近では、偽薬として市販されているものもあるようです。

当院で偽薬を処方することはありません。ただ、不眠やだるさといった症状に対し、本当にお薬による治療が必要かどうかを考えるとき、偽薬のような暗示効果も有効なのかもしれません。

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