炙り料理とアブレーション
[2022.02.10]
回転寿司のネタで、炙(あぶ)りサーモンというのがあります。好みにもよるでしょうが、バーナーで刺身の表面を炙ることで、旨みが凝縮されて香ばしさが増し、一層おいしく感じられます。マグロや鯛などサーモン以外の魚介類はもちろん、肉類やデザートにも、炙り料理のレシピがあります。
さて、循環器の分野には、炙ることで治すことのできる病気があります。不整脈に対する心筋焼灼術という方法です。治療用の細い管であるカテーテルを、脚の付け根の血管から挿入し、不整脈の原因となる異常な電気信号を発する心臓の一部を焼くもので、一般に、カテーテルアブレーションと呼ばれています。以前は職人技に頼るところの大きかったアブレーションですが、最近では、異常な電気信号の発生源を特定できるシステムの進歩や、カテーテルの技術改良などにより、治療成績が飛躍的に向上しています。対象となる不整脈として、心房細動や心室頻拍などがあげられます。
そういえば、「炙る」と「アブレーション」、語感が似ています。カテーテル治療による適切な「アブ」りによって、不整脈でお悩みの患者さんが、歳を重ねてもずっとおいしい料理を味わい続けることのできるようにするための医療が、注目されています。