吹き戻しと呼吸トレーニング
[2024.07.25]
夏休みと聞くと、縁日の情景が思い浮かびます。普段は閑散とした道沿いに突如として軒を連ねる夜店の屋台、そこに並ぶお面やリンゴ飴、また、金魚すくいに、トウモロコシやイカを焼く香ばしい香り。大人になったいまも、思い出すだけで心躍ります。
ところで、吹き流しをご存じですか。縁日でのくじ引きの景品としてみかけることのある、筒状の先端をくわえてヒューッと吹くと、対側の丸められた紙がスルスルと伸び、またスルスルと戻るおもちゃです。ピーッと音が出るものもあります。地域や年代によっては、巻き取りや巻き笛、ピーヒャラ笛、ヘビ笛などと呼ばれることもあるそうです。
そんな吹き流しですが、実は、医療の世界でも注目されています。たとえば、慢性閉塞性肺疾患、いわゆるたばこ肺では、息を吐き出す力が低下することで息切れの症状が出やすくなります。そこで、吹き流しを使って、鼻から吸った息をゆっくり長く吐き出す練習を繰り返します。それが、呼気に必要な筋肉を鍛える呼吸トレーニングになるのです。また、嚥下訓練や美容目的でも、吹き流しが用いられることがあります。
ちなみに、吹き流しは、紙風船同様、置き薬屋の景品として考案されたとの説があります。そのため、薬を包むのと同じ紙が使用されているのだそうです。