パリ五輪とバラ
[2024.08.01]
いま、フランス・パリで、オリンピックが開催されています。「テレビを観ていたので寝不足」という患者さんからの声も、よくお聞きします。パリには、旅や学会で何度か訪ねたことがあり、セーヌ川や凱旋門からのびるシャンゼリゼ通りなどの映像に、懐かしさを感じます。
以前、パリで開催された心臓カテーテル治療関連の国際学会で研究発表した際、発表の合間をぬって、パリから鉄道で約1時間半のプロヴァンという街を日帰りで訪ねたことがあります。大都会パリの喧噪を離れ、城壁と緑に囲まれた旧市街を散策すると、まるで中世にタイムスリップしたかのような錯覚におちいりました。世界遺産でもあるプロヴァンは、バラの街としても有名で、バラを使ったジャムや石鹸は特産品になっています。
そういえば、バラの香りに抗うつ効果があるとする、川崎医療福祉大の研究グループによる報告を目にしたことがあります。それによると、バラに含まれるフェニルエタノールという香りの成分を吸わせたマウスは、ストレスのある環境下でもうつ状態になりにくかったのだそうです。
オリンピックに出場している選手たちは、きっと極度のストレス環境にあるのでしょう。パリの街角に並ぶバラの香りが、どうか彼らに届きますように。