メニュー

高校野球と手紙

[2022.08.10]

夏の高校野球が始まると、応援団員としてスタンドに立った高校時代や、取材に奔走した新聞記者時代を懐かしく思い出すとともに、夏の盛りを感じます。球児たちや彼らを支える人たちのまなざしは、グラウンドに舞い上がる土埃すら闘志の炎にかえてしまいそうなほど、熱く輝いてみえます。

なぜ、私たちは、高校野球に魅了されるのでしょうか。先日、郵便局のホームページで、斎藤佑樹さんによる直筆の手紙「この夏にすべてをかける君へ」を読み、その理由がわかる気がしました。

斎藤さんのことは、高校野球ファンでなくてもご存じの方が多いでしょう。全国大会で甲子園球場のマウンドに立ったとき、投手としての才能とともに、額に流れる汗をハンカチでふく姿が注目されました。大学進学後、プロ野球の道へと進みますが、思い通りの結果を残せず、引退しました。

手紙には「その夢は、きっと叶うよ、とは、僕はいいません」とあります。同じ夢を持つ者どうしのぶつかりあい、夢が叶わないこともある。不安だらけの日々や、挫折に苦しむこともある。しかし、真っすぐな自分のままで、マウンドに立ち続けてほしい。「それでもなんとか前を向くために必要なもの。それは記憶だと思います」「最後まで闘い抜いた記憶が、未来を生きる大切な力になります」。斎藤さんは、しっかりとした筆跡で語りかけています。

この手紙につづられた思いは、私たちの人生そのものにあてはまります。仕事でも、プライベートでも、思い描いた通りに進んでいくなんてことは、まずありません。健康管理も、同様です。しかし、だからこそ、私たちは、一生懸命になれるように思います。高校野球は、自らの生き様を映し出すことのできる鏡なのです。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME