血圧と心不全
[2024.03.21]
患者さんから、「上の血圧が低過ぎるんじゃないか」との相談を受けることがあります。たとえば、家庭での血圧記録を拝見し、上の血圧、つまり収縮期血圧が110mmHg前後で推移しているとします。その場合の答えは、基本的に「むしろコントロール良好」です。
もちろん、脳血管疾患や糖尿病の有無、年齢や認知機能などによって、血圧の管理目標値は異なります。また、生きていく上で最低限の血圧は必要です。ただ、一般に、収縮期血圧が低く維持されているほど心不全を発症しにくいというのは、現在の臨床での共通認識です。
また、血圧は、急性心不全における病態を把握するための分類にも用いられています。クリニカルシナリオによる分類がそれで、心不全の超急性期において、速やかに病態を把握し、治療につなげていくのに有用な指標となります。
収縮期血圧130mmHg台は、ひと昔前でしたら「少し高め」といった認識でした。しかし、今では、更に降圧が望ましい「高値」といえます。血圧こそ循環管理の要であり、専門家による適切な介入が、健康長寿に欠かせないのです。