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自動販売機と医療の行方

[2023.04.13]

若いころ、世界各地を旅しましたが、日本ほど自動販売機の多い国はなかったように思います。24時間いつでも飲み物などを買い求めることができるのは、確かに便利です。

ところで、最近、中国でお薬の自動販売機が登場したとのニュースをみました。自動販売機横に設置の血圧計やパルスオキシメーターで測定後、モニター画面上で問診に回答すると、診断結果が表示されます。そして、指示された自動販売機のスイッチを押すと、お薬が出てくる仕組みです。

この自動販売機での問診の評価は、いま流行の人工知能(Artificial Intelligence; AI)を用いてなされます。時間を選ばずに医療を受けられることは、まさに究極の便利さといえるでしょう。

ありふれた感染症などの診断や治療には、自動販売機のAIによる医療も有効でしょう。一方、高血圧や糖尿病といった慢性疾患に対する治療の柱は、お薬ではなく、生活習慣の修正です。それぞれのライフスタイルにあわせた動機づけや継続した支援は、自動販売機でなく、私たち医療者にこそ担える役割であると考えます。AIの進化した先にある医療の行方は、AIと医療者の適切な棲み分けと共存にこそ希望を見出せる気がします。

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