高血糖の記憶と呪い
[2019.02.26]
糖尿病が、心血管の病気やがん、骨粗鬆症やアルツハイマー病、うつなど、多くの疾患発症のリスクとなることは、よく知られています。では、なぜ、糖が血管を脆くし、がんを引き起こすのでしょうか。
Metabolic memory (高血糖の記憶)という言葉があります。これは、過去に、どのぐらいの高血糖に、どのぐらいの期間曝露されたかが、その後の糖尿病合併症の進展を左右するという考え方を示します。つまり、高血糖は、人の体内で記憶され、将来生じうる合併症の呪いとして残っていくのです。医学的には、記憶される高血糖の正体が、AGEs(終末糖化産物)という老化物質であることが、最近の研究で明らかにされつつあります。ひとたび形成されたAGEsは、体内からなかなか除去されず、健康寿命をむしばんでいきます。
AGEsのもたらす具体的な呪いについては、また別の機会にお話ししましょう。