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高山病と心臓

[2024.09.05]

かれこれ25年以上前になるでしょうか、チベットを旅したことがあります。中国四川省の成都から飛行機で、チベット自治区のラサへ向かったのですが、空港に降り立ってまもなく、息苦しい感覚にとらわれました。

ラサは、海抜約3,700メートル、つまり、富士山頂と同じぐらいの高地にあります。そのため、いわゆる空気が薄い状態で、高山病を引き起こしてしまうことがあります。低地から徐々に体を慣らしていけば、ある程度予防できると考えられます。一方、急激な高度差に体がついていけない場合、低酸素血症に伴う非心原性の肺水腫や脳浮腫を生じることがあります。また、心臓を中心とした循環動態も悪化し、心不全を発症してしまうことも。

空港からラサ市街へ移動し、しばらく様子をみていましたが、このまま放置しては危険だと感じ、ようやく見つけた「医」と書かれた看板のある建物に駆け込みました。ベッドで横になって酸素吸入し、事なきを得ました。

低酸素状態になると、心臓は激しく速く動くことで、全身の酸素不足を補おうとします。ある研究報告によると、心拍出量の大きさが、高山病のリスク因子のひとつと考えられるのだそうです。もちろん、心臓病のある方でも、普段から適切な管理がなされていれば、高所への移動も原則として問題ありません。

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