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心血管の内と外

[2021.03.04]

循環器領域の中で、私が特に専門にしてきたのが、心筋梗塞や狭心症など、心臓に栄養を送る冠動脈が原因となる病気です。冠動脈疾患には、緊急で治療を開始しなければ、命にかかわるものもあり、勤務医時代には、看護師や技師らとチームを組み、24時間365日、救急対応にあたっていました。

急性期における冠動脈疾患に対する主な治療として、心臓カテーテルという特殊な管を用いた手技があります。冠動脈内を造影剤でうつし出し、つまったり細くなったりした部位を、血管内超音波装置や光干渉断層法などを用いて評価し、必要に応じて、血管を拡張したり、ステントと呼ばれる金属を血管内に留置したりします。

このように聞くと、冠動脈疾患は、血管内だけが原因で起こるイベントであるかのように捉えられがちです。しかし、実際には、血管外の性状も、発症に大きく関与していることが明らかになってきています。たとえば、急性心筋梗塞の患者さんを対象としたある研究では、血管周囲の心外膜脂肪厚をMRIで測定したところ、対照例と比較し、急性心筋梗塞発症例で、その厚さを示す数値が高かったとのデータが示されています。

血管周囲心外膜脂肪の厚みを改善させる治療として、血管内と同様、コレステロール低下薬が注目されており、研究が進められているようです。

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