咳と心臓喘息
[2019.11.15]
風邪薬を飲んでも、咳の症状が改善せず、息苦しい。そんな症状で来院される患者さんの中に、咳の原因が、実は心不全だったということがあります。いわゆる、心臓喘息の状態です。
心不全は、さまざまな原因によって体内で引き起こされる、血液循環の交通渋滞を指します。例えば、心筋梗塞や狭心症といった心臓を養っている血管の病気、心臓内の空間をしきる弁の異常、遺伝的要素や感染、高血圧、アルコール多飲などが引き金となる心臓自体を構成する筋肉の障害などが、心不全の原因となりえます。
また、心不全とひと括りにいっても、原因や、血液循環異常のあり方によって、いくつかの病態に分けられます。例えば、血管内を循環する血液の水分量自体が増加し、全身に体液のうっ滞をきたした”volume overload”や、急性期によくみられる、体の中心部に体液が集中した”volume central shift”などがあり、それぞれ治療法が異なります。
これから寒い季節を迎えます。汗をかきにくくなる分、体内にとどまる水分量も相対的に増え、心不全を発症しやすい時期ともいえます。特に、循環器疾患を治療中で、風邪症状のある方は、早めに当院へ御相談ください。