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ボールペンと限りある命

[2023.11.30]

筆記用具の代表格、ボールペン。新聞記者時代には、メモ帳とともに取材の必需品でした。医師になってからも、診療録をカルテ用紙に記載していたころには、2日で1本を使い切るぐらい御世話になったこともあります。最近では、電子カルテが主流となり、使用頻度がめっきり減りましたが、患者さんに検査結果や病状を説明するためのメモ書きや書類作成のため、診察中いつも胸ポケットに入れています。

ところで、ボールペンに使用期限があると聞くと、意外に思われる方もおられるのではないでしょうか。ぺんてる株式会社のホームページによると、「長期間保管するとインキ中の『水分』が蒸発」するため、「1~2年を目安に使い切るよう」にとあります。たしかに、大切にしまっておいたボールペンをいざ使おうとしたときに、インクが出なかった経験があります。

ちなみに、使用期限と似た表現で、食べ物における消費期限や賞味期限があります。前者は、安全に食べられる期限、後者は、おいしさなどが保たれる期限をさします。まだ食べられるのに廃棄してしまう食品ロスをなくすためにも、知っておくべき表示といえます。

ボールペンに使用期限があっても、書かれた記録は残り続けます。また、キーボードで打たれた文字と異なり、癖や感情があらわれるのが手書きの特徴です。限りある命のボールペン、ただの道具というより、なんだか大切な友人のようにも思えてきました。

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