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指と心臓

[2023.05.25]

勤務医時代、細い管を用いて冠動脈を治療するカテーテル手術を専門のひとつとしていました。カテーテル操作には、押す・引く・回すしかありませんが、1mm未満の操作ミスが生命に直結することもあり、修練を積んだ指先の細やかな動きが何よりも大切になります。笑い話ですが、心臓カテーテル班の先輩から、「エレベーターの扉に挟まれそうになったら、手でなく頭で止めろ、指だけは絶対に傷つけるな」と言われたことがあります。

さて、診察室で脈を診るとき、自然と患者さんの手に目が向きます。すると、職業によって、指の長さや肉づき、節々の太さや色に、それぞれ特徴があることがわかります。また、高齢の患者さんの、これまでの生き様がしっかりと刻まれた皺だらけの指を拝見すると、人生の先輩に対する畏敬の念を抱かずにはいられません。

目は口ほどに物を言うといいますが、指もまた然りといえるでしょう。第4指である薬指には、心臓に直結する血管があり愛情や誠心に通じているとの言い伝えがあります。また、指先の状態で、心臓や肺の病気を疑う場合もあります。

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