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慢性疼痛と言葉の処方

[2023.04.27]

循環器内科を標榜している当院ですが、慢性疼痛で悩まれている患者さんから、湿布や痛み止めの処方を希望されることも多くあります。消炎鎮痛作用のあるお薬は、症状を和らげる効果を期待できる一方で、胃潰瘍や依存症になるリスクを伴い、適切な使用が大切です。

慢性疼痛は、既存のお薬で劇的な改善を得られにくいのも特徴です。そんなとき、「言葉の処方」が有効かもしれないと感じることがあります。ある日、高齢女性から、術後から持続する痛みを主治医に伝えたところ、「術後で痛いのは当たり前」と言われ、身体に触れての診察すらしてもらえなかったとお聞きしました。「痛いのはつらいですね」。私が患者さんだったなら、まず、最初にこのひと言が欲しかったと思うでしょう。自身の苦しみに共感してもらえるだけで、スッと痛みが軽くなる気がするからです。

患者さんの症状をお聞きし、それを受け止めること。それが、診断や治療へとつながる第一歩です。そのために、私たちが最初に処方するのは、お薬ではなく言葉でありたいと思います。

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