寿司屋の思い出と急性心筋梗塞
[2023.01.12]
新聞記者の高知支局時代、当時のデスクによく連れていっていただいた寿司屋があります。取材がうまくいかず、デスクに愚痴をこぼす私に、強面の大将と気風のいい女将さんが、いつも「おまんはイノシシみたいで、いっつも全力を出しきって走ろうとしゆうからいかんき、力抜くことも覚えんと」と、叱咤激励してくれました。
数年前、大通りに面した店をたたみ、改装した自宅で馴染み客だけを相手に再開した大将の寿司屋を再訪したことがあります。そのとき、大将から、少し前に急性心筋梗塞を発症し、何日間も生死をさまよったという話をうかがいました。「店の準備をしよったら、急に胸が痛うなって、おまんに電話しよう思うたところまで覚えとるけんど、目が覚めたときには、病院のベッドの上やった」。
そう、この秒単位の急変こそが、急性心筋梗塞の特徴なのです。血管の詰まりどころによっては、大将のように、救急車を呼ぶ間もなく、心臓が止まってしまうことがあります。
寒い冬、急性心筋梗塞の発症が、夏場よりも20%程度増えるとの報告もあります。発症を防ぐためにも、減塩、ウオーキング、禁煙など、日ごろからの健康管理に、肩の力を抜きつつ、頑張り過ぎずに取り組みましょう。