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心臓と左側

[2022.03.24]

循環器内科を標榜している当院では、胸の痛みで来院される患者さんが多くいらっしゃいます。そうした患者さんに、具体的な症状をお尋ねすると、「左胸の心臓あたりが痛い」と表現されることがあります。なるほど、たしかに、心臓は胸の左側にあるといったイメージがあります。

しかし、実際の心臓は、胸の真ん中あたりにぶらさがっています。そのため、心筋梗塞や狭心症により冠動脈の虚血が生じた場合、典型的には、前胸部全体やみぞおちあたりの、痛みや締めつけ、圧迫感として自覚することが多いのです。ただ、なかには、左肩の痛みが心筋梗塞発症のサインとなることなどもあり、左右どちらかに偏った症状というだけで、心臓の病気を否定することができるわけではありません。

では、なぜ、心臓は胸の左側にあるという思い込みが定着しているのでしょうか。それは、心臓の鼓動をより強く感じられるのが、左前胸部であることと関係しているかもしれません。人の心臓は、生まれた直後から、全身に血液を送り出すための左心系が発達し、肺へ血液を送る右心系よりも力強く動きます。そのため、「ドキドキ」を胸の左側で感じやすいのです。

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