平均寿命の延伸に伴い、「元気に百寿」というのは、最早、夢物語ではなくなりつつあります。当院へ定期通院しておられる患者さんについても、90歳以上の方は珍しくありません。

健康長寿の時代を迎えると同時に、100歳以上となった方に関する研究も進められています。具体的に、どんな生活習慣や病気をもった人が、ある程度の介助を必要としながらも、基本的な日常生活を自力で送ることができているのかといったことなどについて、少しずつデータが蓄積されています。

たとえば、100歳以上の方では、糖尿病が少ないとの報告があります。糖尿病では、がんや認知症になりやすいとされ、ある意味、納得の結果といえます。一方で、これまで全く病気にかからなかった人が、必ずしも長生きするわけではなく、むしろ、何らかの疾患を抱えながら、それを適切にコントロールできている方が、100歳以上に多かったとのデータもあるようです。

当院でも、高血圧や糖尿病と診断され、治療を受けられた患者さんのうち、生活習慣の改善などにより、おくすりによる治療を卒業できた方が、何人もおられます。信頼できるかかりつけ医を持ち、定期的に健康チェックを受けながら、病気と上手につき合っていくことが、平均寿命とともに、元気に過ごしていくことのできる健康寿命をのばしていける、よりよい方法といえるでしょう。