痰と心不全
[2024.09.12]
台風一過、日中はまだ猛暑が続いていますが、朝晩の気温が少し下がり、秋の気配を感じるようになりました。日内の気温差が大きいこの時期は、体調を崩しやすく、感染症への注意も必要です。
当院の外来でも、痰がからむ、あるいは、痰が出すぎるといった訴えで受診される方が増えてきた印象です。当院では、痰や咳、のどの痛みといった症状がある場合、まず、感染症によるのかどうかを検査します。その結果、感染症以外の病態による可能性が高いと判断されれば、患者さんのご希望に応じて原因を調べていきます。
たとえば、ピンク色に泡だった痰が出る場合には、心不全を疑う必要があります。心機能がある程度低下すると、肺がうっ血を来たすことがあり、一般的な細菌やウイルス感染のときにみられる粘っこい黄色痰や、気管支喘息でみられる白っぽい痰とは異なる、特徴的な痰を排出するからです。心不全と診断されたら、レントゲンや血液、心臓超音波などの検査を実施し、心機能低下の原因となる病気を絞り込み、治療方針を検討していくことになります。
たかが、痰、されど、痰、命にかかわる病気が潜んでいることだってあるのです。