運動処方と社会的処方
[2022.12.15]
処方というと、おくすりをイメージされる方が多いと思います。たしかに、おくすりの処方は、さまざまな病気に対する主な治療法のひとつです。しかし、臨床の現場での処方に、おくすり以外のものもあるのをご存じでしょうか。
たとえば、心臓リハビリテーションの分野で広く知られる、運動処方があります。それは、心臓の術後や心不全の患者さんに対し、心機能の維持や回復を目的に実施される運動療法において、それぞれの患者さんの全身状態に応じて、どの程度の運動負荷が適切かどうかを、医師から理学療法士ら医療スタッフへ伝えるための、客観的な指標となります。具体的には、心肺運動負荷装置による検査結果やカルボーネン法という計算式で求めた数値が、処方内容に反映されます。
また、人どうしのつながりを促す、社会的処方もあります。高齢者やメンタル不調の患者さんにとって、引きこもりは、孤独を助長し、寿命にも影響するとされます。英国などでは、そうした患者さんに対し、地域での交流会やスポーツ活動などを紹介し、参加を勧める、社会的処方の取り組みが進んでいます。その中で、かかりつけ医が重要な役割を果たしており、最近、国内でも注目されつつあります。