脈診と五臓
[2020.02.27]
循環器の病気で通院される患者さんが多い当院では、診察時、患者さんの脈をとらせていただく場面が多くあります。脈の圧や速さ、左右差の有無などは、循環動態以外に、感染症の有無など、お体の状態を知る大切な手がかりとなります。
ところで、東洋医学の世界でも、脈をみることの大切さが説かれています。単按と呼ばれる脈診は、左右手首の各3ヶ所を触れることで、五臓の状態を読み取るとされます。具体的に、右側の単按で、肺、脾臓、腎臓を、左側の単按で、心臓、肝臓、腎臓をそれぞれ評価します。たとえば、心臓を指す左寸と呼ばれる部位での単按で、強く圧迫してはじめて脈が触れる状態を沈脈といい、全身倦怠感や睡眠不足を意味するのだそうです。
患者さんのお体を見て、触れて、聴くことは、診察の基本です。脈診は、その中でも、比較的容易に患者さんの状態を評価でき、情報量の多い方法といえます。