旅とTAVI
[2022.06.30]
旅することが好きです。学生時代には、バックパックひとつ背負って、宿や目的地を決めず、気の向くままに、数週間かけて国内外を放浪したものです。
さて、10年ほど前から循環器領域で注目を集めているのが、心臓弁膜症に対するカテーテル治療のひとつ、TAVI(タビ)です。Transcatheter Aortic Valve Implantationの略で、カテーテルという管を用いた大動脈弁狭窄症に対する治療をいいます。
心臓と大動脈とをつなぐ大動脈弁の狭窄により、体中に必要量の血液を送ることができなくなります。すると、胸痛や、むくみ、息切れなどが出現するようになり、循環不全をきたします。大動脈弁狭窄症に対する治療法として、従来、胸を切開しての外科手術が一般的でした。しかし、TAVIの登場により、カテーテルを通すための穴を開けるだけで新しい弁を埋め込むことができるようになり、治療の選択肢が増えました。患者さんにとって、生命をつなぐ「タビ」が、TAVIなのです。国内では、2013年から保険償還されています。
大動脈弁狭窄症の診断には、心臓超音波検査が有効です。そして、薬物療法を含めた専門的な管理が、狭窄の進行を抑制したり、適切なタイミングで外科手術やTAVIを検討したりする上で、重要になります。