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低栄養とアルブミン

[2020.11.05]

低栄養は、心不全など循環器疾患の病態とも関連し、患者さんの状態を評価する重要な所見のひとつです。当院で血液検査を受けられた患者さんにお渡ししている「血液検査項目の見かた」の中では、「アルブミン低値は、るい痩(やせ)や栄養不足の指標となります」と記しています。

アルブミンは、蛋白質のひとつで、血管内の水分を保ち、栄養を運搬する役割などを担っています。私が研修医のころには、先輩医師から、アルブミン低値イコール低栄養であると教えられたものです。

ただ、最近では、アルブミンは、栄養状態より、むしろ炎症の状態を反映している指標のひとつであることが明らかになっています。循環器疾患にもあてはまりますが、感染や悪性疾患など、体内で炎症を起こすような病気にかかると、アルブミンの値が下がります。一方、単に食事量が少なくなっただけでは、たとえ低栄養であっても、アルブミン値は維持されるようです。

アルブミンだけで、栄養状態をみるのは、古い考え方です。ただ、炎症性疾患は、それ自体、栄養状態を悪化させる原因となりえます。その点において、血液検査でアルブミンを評価することは、今も昔も有意義であるといえるでしょう。

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