ミクロとマクロ
[2019.07.11]
先日、周南市美術博物館で、MINIATURE LIFE展を鑑賞しました。パンやノート、パソコンのキーボードなど日常生活の中でよく目にする小物を、別のものに見立て、それぞれのシチュエーションに合ったミニチュア人形を配置した作品が並び、それぞれにウイットに富んだタイトルが添えられ、思わず微笑んでしまう、素敵な展覧会でした。
医学や医療の世界では、ミニチュア人形をみるように、細胞や遺伝子レベルで病態を解き明かすミクロな視点でのアプローチと、患者さんのかかえる症状などから、大局的に体全体の状態を把握するマクロな視点でのアプローチがあります。大学院で研究していたころには、たとえば、心臓の血管内性状を光干渉断層法という特殊な方法を用いて解析するなど、ミクロなデータ収集に没頭していた時期もありました。一方、日々、患者さんと向き合い、臨床をしている現在では、マクロな目線での仕事がメーンとなります。しかし、だからこそ、国内外の新たな基礎研究の論文等に、常にアンテナを巡らせ、ミクロな視点での裏づけを忘れないよう心がけています。
今回鑑賞したミニチュアアートの人形たちのように、私たち実際の人間も、健康を大切にしながら、それぞれの場面で生きいきとした瞬間を過ごしたいものです。