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成都と薬膳料理の思い出

[2025.05.22]

若かったころ、バックパックを背負って世界各地を旅しましたが、なかでも訪問回数が多かったのは、中国でした。特に、シルクロードなど西域を訪ねる際に拠点としたのが、三国志などで知られる成都で、そこではいつも、交通飯店という格安ホテルに宿泊しました。

川のほとりの町外れにあるこの宿では、ほかの旅人たちと相部屋になるドミトリーを利用していました。旅費の節約という理由もありますが、旅人どうしの情報交換ができ、1人旅の身にとって、それもまた旅の醍醐味になるのです。

あるとき、同宿した年輩の日本人男性から「薬膳料理をごちそうするから、一緒に行かないか」と誘われました。お供させていただいた瀟洒な店で、多分人生初となる、ナツメやクコの入った透明感のある独特な薬膳スープや骨つきのカエル肉をいただき、なんだか旅の疲労が癒やされたような気になりました。

薬膳は、食薬同源に基づき、食事による健康の維持や増進を目的とした考え方や料理を指します。私たちにとって縁遠い献立のように思われがちですが、ごぼうや人参、黒ごまなど、身近に手に入れることのできる食材もたくさんあります。

人生という長い旅の疲れに、薬膳料理を試してみるのもいいかもしれません。

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