フラップと線毛
[2023.06.01]
平年より早く梅雨入りしました。傘が必需品となる季節ですが、かつてイギリスを旅した際、雨模様の街角でも、傘をさして歩く人の姿をほとんどみかけませんでした。
イギリス人が傘をささないことには、いくつかの理由があるようです。たとえば、イギリスでは、雨に強風を伴うことが多く、そもそも傘が役に立たないなど。また、トレンチコートや防水シューズの着用など、急な雨に備えた傘以外のファッションが定着していることも、理由のひとつかもしれません。
そういえば、スーツの上着ポケットについている、ビラビラとした蓋のような部分を、フラップといいますが、フラップは、ポケット内に雨水を侵入させないためにあるのだそうです。
人体にも、フラップのように、外部からの異物の侵入を防ぐ仕組みがいくつもあります。そのひとつが、気管支の粘液上皮細胞にある線毛です。線毛は、気管支に入ってきた異物を外に押し出す働きをしてくれます。そんな線毛ですが、喫煙により、その機能が低下することがわかっています。
フラップも線毛も、目立たない存在ですが、傘のような大切な役割を担ってくれているのです。