ウイルスの外套と手洗い効果
[2020.03.31]
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、大型イベントの自粛や外出制限の呼びかけが続いています。医療界でも、学術集会等の中止や延期が相次ぎ、私自身も、地域の医師向け講演会で、高血圧治療についてお話する仕事などをいただいていましたが、残念ながら中止となりました。
現時点での、新型コロナウイルスの最たる問題点は、「わかっていないことがあまりに多い」ということだと思います。発生源、感染経路、感染力、対処法、予後、予防法など、これから徐々に明らかになっていくのでしょうが、不確かな情報は、逆に不安をあおることにもなりかねません。
ただ、「うつらない、うつさない」の基本的な点において、いくつかわかっていることもあります。たとえば、徹底した手洗いの重要さもそのひとつです。一般に、コロナウイルスの仲間は、リボ核酸と蛋白質、それを取り巻くエンベロープと呼ばれる外套からなっています。この外套がなくなると、ウイルス自体が不活化するとされます。そして、外套をうまく脱がせるのに有効なのが、アルコールや石鹸といった脂質溶解剤です。そのため、石鹸による十分な手洗いは、感染予防および感染拡大防止対策に効果的であると考えられます。