メニュー

レガシーと心血管疾患

[2020.02.13]

認知度が高い、あるいは、和訳が困難であるといった外来語は、元々の発音でのカタカナ表記で、日常生活の中で広く用いられることがあります。そのひとつで、最近、レガシーという言葉をよく耳にします。レガシーは、英語legacyのことで、遺産を意味します。今夏開催される東京五輪に絡んでレガシーという表現が使われる場合、オリンピックおよびパラリンピック後に残る、有形または無形の社会的遺産を指すようです。たとえば、医療分野でいえば、禁煙・分煙の強化継続や、医療観光の促進などが期待されています。
ところで、臨床においても、レガシー効果という表現があります。ある研究で、糖尿病患者に対する早期の積極的な治療介入は、標準的な治療を実施した患者群と比較し、血圧管理を含む心血管疾患のリスクを抑制し、その効果がレガシーとして、治療開始10年後の時点でも持続するという結果が示されました。これを、レガシー効果と呼んでいます。薬物治療の進歩などが一因ともされています。ちなみに、このレガシー効果、最近の研究で、さらに長期間追跡したところ、治療開始15年後の時点で、積極的な治療群と標準的な治療群とで、心血管疾患リスクの回避率に差がなくなった、つまり、レガシー効果はみられなかったという残念な結果も発表されました。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME