心と心臓
私たちが、心、という場合、そこにはいろんな意味が内包されます。その漢字は、心臓のかたちに由来するといわれています。体の中心に位置する心臓は、古来より、生命だけでなく感情を司る臓器とも考えられてきました。
そんな心ですが、英語では、意味によっていくつかの単語に使い分けられます。心臓や感情をあらわすheart、思考や判断をあらわすmind、精神的な面をあらわすspiritやsoul、psycheなど。ちなみに、cardioは、医療の分野で多く用いられる心臓を指す接頭語で、たとえば、cardiology(心臓学)、cardiogram(心電図)などがあげられます。
東洋医学の陰陽五行説では、五臓、つまり、心、肺、腎、肝、脾には感情が宿っていると考えられています。そして、感情には、怒、喜、思、憂、悲、恐、驚の7つがあり、このうち、喜という感情は、心臓が関係しているとされます。
一方、西洋医学では、脳の真ん中にある大脳辺縁系が喜怒哀楽といった感情にかかわっていることがわかっています。大脳辺縁系のうちアーモンドに似たかたちの扁桃体は、感情の処理やストレス反応に重要な役割を担っています。
このように、科学的には、心臓が感情をつかさどる臓器であるとはいえません。しかし、たとえば、熱中症になると、鼓動がはやくなり心臓に負担がかかるといったように、心臓が心の影響を受ける臓器であることには間違いなさそうです。