弁膜症と扉のメンテナンス
心臓弁膜症は、心臓内にある弁に異常を生じることで、血流が悪化し、心臓が正常に機能しなくなる状態をいいます。代表的な弁に、左房-左室間の僧帽弁、右房-右室間の三尖弁、左室-大動脈間の大動脈弁などがあります。
弁膜症の原因として、生まれつきの先天性と、心筋梗塞や感染症などに伴う後天性があげられます。また、平均寿命がのびるにつれ、加齢によるものが増加している印象です。
弁膜症がある程度進行すれば、息切れや動悸、むくみといった心不全症状が出現します。しかし、特に自覚症状のない高齢の患者さんのうち、たまたま受けられた心臓超音波検査ではじめて弁膜症を指摘されたという方も、実は少なからずおられます。
早い段階からの適切な管理により、弁膜症による心不全を悪化させることなくコントロールすることが期待できます。一方、進行した場合、症例によっては、おくすりや外科的手術以外に、カテーテルという管を用いた侵襲の少ない治療法も選択肢となりえます。
当院では、心臓の弁を、扉にたとえて説明しています。どんなに大切に使ってきた新品の扉でも、数十年と時が経てば、少しは歪んだり、すきま風が吹いたりするものです。心臓の弁も同様で、生後いまに至るまで、休むことなくかんばって動いてくれているのです。さて、みなさんの扉のメンテナンスはいかがですか。