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孤独と心臓病

[2025.06.26]

記者をやめて医者になろうと決めたとき、再受験生活の場を、大学時代に暮らし慣れた京都にしました。京都には、学生客メーンの安い飲食店がいくつもありました。また、司法試験に向けて勉強中だったり、大学で研究を続けたりしている仲間が、少なからずいました。

仲間たちは、残念会と称してよく食事や飲みに誘ってくれました。医学部の編入学試験に合格し、残念会ならぬ祝勝会を開いてもらった行きつけのお好み焼き屋で、店主から「おめでとう」といただいたのが、焼酎「百年の孤独」のボトルでした。

お好み焼き屋が大学向かいのビルにある小さなバーだったころにこの焼酎を知って以降、独特なオークの香りだけでなく、「百年の孤独」という名にずっと惹かれていました。それが南米のジャーナリスト、ガブリエル・ガルシア・マルケスの執筆した小説のタイトルと知ったのは、随分後の話です。昨年、国内初となる文庫版が発売され、再注目されています。

さて、孤独が心臓病の発症リスクになることについて、以前からいくつもの報告があります。孤独によるストレスが交感神経を活性化し、血圧を上昇させたり心拍数を増加させたりする、また、孤独な生活における偏食や運動不足が、循環不全を助長するといった理由が考えられています。

記者から無職の受験生に戻った私が、健康を害することなく受験勉強に打ち込むことができたのは、きっと気のおけない仲間たちのおかげだったのでしょう。

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