新しい高血圧ガイドラインの治療と管理
この度、日本高血圧学会より、高血圧に関する新しいガイドラインが発表されました。前回から、新型コロナ禍を経て、6年ぶりの改訂となります。
注目すべき変更点は、これまで75歳以上とそれ未満で大別されていた降圧目標値が、年齢等によらず、診察室血圧130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満と一本化されたことです。これまでのガイドラインでは、糖尿病、慢性腎臓病、冠動脈疾患、脳血管障害、抗血栓薬内服中のいずれにも該当しない75歳以上の患者さんの降圧目標値は、診察室で140/90mmHg未満、家庭で135/85mmHg未満でした。
今回、高齢者の基準値を10mmHg下げるという厳しい内容になったのは、主要先進国の中で、日本の血圧管理率は極めて悪く、よりわかりやすい降圧目標値を設定することで、患者さん側、医療者側双方にとって血圧コントロールしやすくするためともいえるでしょう。
今回のガイドラインでも、高血圧の治療に用いられるべきお薬について、これまで同様にしっかりと示されています。ただ、大切なのは、お薬を使うこと以上に、生活習慣を見直すことです。高塩分摂取、喫煙、飲酒、肥満、有酸素運動不足などは、いずれも血圧を高くする可能性が高いといえます。思いあたることがあれば、まず、ご自身で「楽しい」「無理のない」と感じられる範囲内で、修正に取り組んでみましょう。
また、血圧管理で重要なのは、家庭血圧を習慣として測定し、記録することです。健診や診察室では、約3割で普段より血圧が高くなる、いわゆる白衣高血圧がみられるといわれています。当院でも、上の血圧、つまり、収縮期血圧が、自宅ではいつも120mmHg未満なのに、診察室で140mmHg以上になる患者さんは、少なからずいらっしゃいます。
今回のガイドライン改訂を機に、いまの血圧管理を私たちとともに見直してみませんか。