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寝酒と睡眠

[2025.08.28]

「寝るためにお酒を飲んでいます」。時々、患者さんからそうお聞きすることがあります。たしかに、1日の終わりに飲む酒は、心身の疲労をほぐしてくれるようで、心地よく感じます。アルコールによる催眠作用といってもいいでしょう。

しかし、寝酒をすると、かえってよい睡眠をえられないことが明らかになっています。体内で代謝されたアルコールは、アルデヒドという物質になり、これが脳を活性化させ、脳波上の深睡眠が出なくなることがわかっています。また、アルコールの利尿作用により、夜中に何度もトイレで目覚め、中途覚醒や日中傾眠の原因となったり、筋弛緩作用による気道の閉塞で、睡眠時無呼吸を誘発する可能性があったりします。

では、寝る前のどのタイミングまでならアルコールを摂取していいのでしょうか。もちろん、どのタイミングであっても、酒を飲むこと自体が睡眠の質に悪影響を及ぼすとする意見もあります。しかし、就寝の4時間前までに酒を飲み終えるなら、睡眠に大きな問題はないといわれています。ただ、忙しい現代人にとっては、寝る4時間前までに晩酌を終えるのは、なかなかハードルが高そうです。

よい睡眠をとるには、寝酒よりも生活習慣を見直すことが大切です。昼寝を極力避ける、朝日を浴びるなどに加え、布団に入っても寝つけなければ、無理に寝ようとせず、一旦寝室から出ることも重要です。眠れないことに対する不安が、更なる不眠をもたらすことになるからです。1人で悩まず、かかりつけや専門の医療機関に相談してみしょう。

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