私たちは、それぞれの環境の中で生きています。環境が、私たちの感情や行動に影響を与えることを、アフォーダンスといいます。たとえば、建物の入り口にカウンターがあれば、そこが受付だろうと認識します。つまり、アフォーダンスは、環境が私たちに供する意味や価値をさすといえます。

では、現代社会という環境の中で、アフォーダンスから導きうる、私たちが生きる意味とはなんでしょうか。世界的にみれば、いまも、国家などの巨大組織により、人々に共通する価値観が否応なく形成され、市民が大きな犠牲をはらわされるといったニュースを耳にします。しかし、一般的には、ポストモダンの時代になり、生きる意味を問うアフォーダンスは、集団から個へと細分化されたように思います。

そもそも、普遍的な意味などないとする考え方もあります。意味などなく、意味を求めようとする理念や行為が存在するだけだと。ただ、忘れてはならないのは、私たち自身が、他者にとっては環境そのものであり、他者に影響を与えうるのだということです。その点において、生きる意味は、健康な心身をもって、自身をとりまく環境とつながることにあるという考え方として共有できるかもしれません。