高齢者の血圧管理とSHEPからSTEPへ
[2025.04.24]
血圧管理について、一般に、高齢になるまでにどれだけコントロールできたかが、将来の動脈硬化を伴う病気の発症を左右するといわれています。一方、では、高齢になれば血圧管理しなくていいかというと、そうではありません。
いまから30年以上前の1991年、SHEPという介入試験の結果が報告されました。これによると、60歳以上で上の血圧、つまり収縮期血圧が高い患者さんを対象とし、お薬による治療を受けた群とそうでない群とに分け、4年半追跡評価した結果、治療群で心筋梗塞や脳卒中の発症率が明らかな差をもって抑制されたことが示されました。
その後も、高齢者における血圧管理の重要性を示した臨床試験結果が相次いで出され、2021年に発表されたSTEP試験では、60歳から80歳までを対象に、収縮期血圧110-130mmHgと厳格に管理した群とそうでない群とで、心血管病の発症率が大きく異なることが報告されました。
SHEPからSTEPへ、そして、さらに次の段階へと考えると、高齢になってもできるだけ収縮期血圧を低く維持することが、健康に長生きするための秘訣といえます。