お薬の飲み忘れとリバウンド現象
[2024.05.09]
中学生のころ、部活動でバスケットボールをしていました。得点するにはシュートしなければなりませんが、放たれたボールすべてがゴールするわけではありません。こぼれたボールを奪い、味方の好機につなげることも重要です。この状態をリバウンドといい、バスケットボールの醍醐味のひとつです。
さて、医療の世界では、リバウンド現象という表現があります。これは、使用していたお薬を急にやめることで、これまで抑えられていた症状が逆に悪化することをいいます。
循環器の分野では、狭心症や心筋梗塞、心房細動、下肢静脈血栓症などで、抗血小板薬や抗凝固薬といった、血液をサラサラにして血栓を溶かす、または、予防する、抗血栓薬を使うことが少なからずあります。長期間内服していた抗血栓薬が途切れると、リバウンド現象として、血栓症や塞栓症を誘発してしまうことがあります。
出血のリスクを伴う処置や手術を受ける際には、リバウンド現象が起きにくいよう、担当医と相談の上、抗血栓薬を計画的に調整することができます。一方、患者さん自身によるお薬の飲み忘れによる場合、血栓塞栓症の危険性が高まります。
心筋梗塞後で抗血栓薬を内服中、たまたま旅行先にお薬を持っていくのを忘れ、再度心筋梗塞を発症し命を落としてしまうことだってあるのです。