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冷え症と心不全

[2025.01.30]

脈を診る際、患者さんの手に触れると、とても冷たいときがあります。「冷たいですね」「そう、冷え症なんですよ」。特に、寒さの厳しいこの時期、こうした会話が自然と増えます。

冷え症自体は、季節に限らずに用いられる表現で、洋の東西を問わず、比較的新しく登場した医学的概念です。厳密な定義はありませんが、冷えが原因で、苦痛を伴う身体の異常が出現する状態をさします。血流自体というより、体内外での特徴的な温度分布が関係するといわれ、下半身や手足が冷える一般的なものから、お腹あたりだけ冷えるタイプもあります。

さて、循環器の領域でも、手足の冷感が指標となる分類があります。Nohria-Stevenson分類は、身体の診察から判断したうっ血所見および低灌流所見の有無で、心不全の病態を4つに分けることで、治療方針を決めたり、予後を予想したりするのに役立ちます。低灌流所見とされるものの1つに、四肢冷感、つまり、手足の冷えがあるのです。

高度な検査技術が発達したいまの時代においても、医療の基本は、患者さんの身体所見をしっかりと評価することにあります。

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