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寄せ鍋とお薬

[2020.11.26]

寒い季節にいただく鍋料理は、身も心もあたためてくれます。県内では、ふぐ鍋やあんこう鍋、また、周防大島のみかん鍋などが有名です。学生時代には、友人たちと食材を持ち寄り、安いお酒を酌み交わしながら、こたつで鍋談義を楽しんだものです。

ちなみに、「面白い」という言葉は、囲炉裏の対面にある相手の顔が、ほんのり白んでみえることから生まれたとの説があります。鍋を囲んでのコミュニケーションの愉快さは、「面白い」の由来に相通じるといえるかもしれません。

さて、お薬のなかにも、寄せ鍋のようなものがあります。一部の配合薬や漢方薬がそうです。特に漢方薬は、さまざまな生薬が、大きな鍋でグツグツと調合されたイメージです。いろんな食材が混ざり合うことで、期せずして新しい旨味が出てくることがあるのも、寄せ鍋の楽しみのひとつですが、漢方薬についても同様です。たとえば、腹痛や腹部膨満感に対して適応のある当帰湯は、寄せ鍋効果として、狭心症や肋間神経痛のような痛みに対しても有効とされています。

一方、お薬の飲み合わせが、かえって体にとって害になることもあります。そのため、患者さん自身の判断による寄せ鍋的な内服法は禁物です。

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