年の瀬といまを確かに生きていくこと
[2020.12.29]
年末になりました。予報では、強い冬型の気圧配置となるため、山口県でも大雪など荒れた天気となるようです。吐く息の白さはマスクでかき消され、軽い咳払いですら周囲に気遣いながら迎える年の瀬を、みなさんはどんな思いでお過ごしでしょうか。
子どもたちに人気のキャラクター、アンパンマンの生みの親であるやなせたかしさんの詩画集「希望」(あおぞら出版社)にふれる機会がありました。「絶望のとなりに/だれかが/そっと腰かけた/絶望は/となりのひとに聞いた/『あなたはいったい/誰ですか』/となりのひとは/ほほえんだ/『私の名前は/希望です』」。新型コロナ禍で一変してしまった世界に生きる私たちは、いま、深いとまどいや不安の中にいます。この詩は、そんな打ちひしがれた心を癒してくれる、新しい年を迎えるにあたっての勇気を与えてくれるような気がします。
カール・ヒルティの名著「幸福論」が現代風に訳された「超訳ヒルティの幸福論」(齋藤孝訳、三笠書房)にも、力強く生きていくヒントが散りばめられています。「真の幸福は自分一人のものではなく、まわりの人すべてを幸福にする」。
やがて訪れる希望に向かって、私たちにできることは、心と身体の健康を保ちながら、いまを確かに生きていくことのように思います。よいお年を。