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トポロジーと本質

[2025.04.17]

学問において「ない」ことを証明することは、悪魔の証明ともいわれ、極めて困難な場合があります。先日、長年悪魔の証明とされてきた「正三角形を3ビースに分解して、裏返さずに並べ直して正方形を作ることは不可能」という定理を、日米の数学者が証明したとのニュースを知りました。

この解明に用いられたのが、トポロジーでした。図形を研究する数学の分野を幾何学といいますが、トポロジーとは、このうちの1つである位相幾何学のことです。トポロジーの考え方によると、たとえば、コーヒーカップとドーナツは、穴が1つという点で共通していることから、同じものであると解釈します。つまり、見た目ではなく本質を捉えるという、極めて抽象的な思考法といえます。

本質を見極めるという点においては、私たちの診療行為も似ているといえるかもしれません。個別の具体的な症状や身体所見を、一旦一括りにし、そこから導かれる共通項や相違点から疾患を鑑別し特定していく作業は、診断を確定する点においても、逆に「心配されているような病気ではないですよ」と患者さんにお伝えし安心していただく場合においても、ときにとても難解ですが、重要なプロセスです。

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