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マーキュリーと血圧

[2024.01.18]

マーキュリーと聞いて、何を連想しますか。太陽系の惑星、水星でしょうか。あるいは、伝説のロックバンドであるクイーンのボーカル、フレディ・マーキュリーでしょうか。

そもそも、マーキュリー(mercury)は、ローマ神話における商業の守護神、メルクリウス(Mercurius)が由来とされ、ギリシャ神話における伝令神ヘルメスにあたるのだそうです。

血圧管理を専門とする循環器内科医の立場からすると、まず、血圧の単位が思い浮かびます。”mmHg”と書いて、「ミリメートルマーキュリー」と読みます。では、なぜ、そのような単位になったのでしょうか。実は、マーキュリーは、水銀(元素記号Hg)の英語名でもあります。たとえば、血圧が120mmHgと表現する場合、血圧計の水銀柱を120mm押し上げる圧力があることを示しているのです。

水銀は、常温および常圧で凝固しない唯一の金属元素で、血圧を測るのに最適とされ、汎用されてきました。しかし、現在は、水銀を用いた機器の輸出入や製造が、条約や法律により禁止されています。そのため、マーキュリーという言葉だけを残し、水銀血圧計を診察室でみかけなくなる日も、そう遠くないでしょう。

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