ベジタリアンとビタミンB12
かつてインドを旅したとき、街角の小さな食堂でも、「ベジタリアン」と「ノンベジタリアン」とにメニューが分かれているのに驚きました。インドは、宗教などを理由に、肉を食べない菜食主義者、つまりベジタリアンが多いことで知られています。試しにベジタリアンの料理を選んでみると、おいしい豆の煮込み料理が運ばれてきたのを覚えています。
野菜だけの食事といえば、とてもヘルシーなイメージが浮かびます。しかし、実際には、必ずしもそうではありません。たとえば、造血作用に関与し「赤いビタミン」ともいわれるビタミンB12は、動物性の食品にしか含まれていません。そのため、肉をまったく食べない人では、ビタミンB12が不足してしまう可能性があるのです。
不足すると、貧血の原因になり、疲労感やだるさといった症状を引き起こすことがあります。また、ビタミンB12には、末梢の神経を修復する機能があり、その欠如により、肩こりや足腰の痛みが悪化してしまう懸念も。
もっとも、インドでのベジタリアンの多くは、ラクト・ベジタリアンで、牛乳やチーズといった動物由来の乳製品は食べていいとされています。牛乳にはビタミンB12がしっかりと含まれており、緑黄色野菜の葉酸とともに、赤血球中のヘモグロビン合成を促進させます。このように、ベジタリアンであっても栄養バランスが保たれていると考えられます。