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脂質異常とおくすり継続の目安

[2021.07.15]

おくすりは、健康な方にとっては、本来なくてよいものです。しかし、何らかの異常があり、おくすりによる治療のメリットがデメリットより大きいと判断される場合、医師や薬剤師と相談の上、使うことになります。

たとえば、高コレステロール血症を含む脂質異常症に対し、おくすりを処方されることがあります。これにより、悪玉と呼ばれるLDLコレステロール値を下げることが期待できます。一方、数値がよくなった時点で、すぐにおくすりを中止してしまうと、多くの場合、以前の高いLDLコレステロール値に戻ってしまい、将来的な動脈硬化疾患の高リスクとなります。

欧米では、これまでも、一度開始した脂質異常に対するおくすりについては、患者さんに内服し続けてもらいなさいとの考え方が主流でした。一方、少しでも内服の数を減らしたいとの観点からも、75歳以上の患者さんに、どこまでおくすりを処方し続けるのがいいのかについては、意見が分かれていました。

そんな中、2018年の米国心臓病学会で、ひとつの方向性を示すデータが発表されました。それは、75歳以上の方に対し、LDLコレステロール値を継続してコントロールすることで、たとえば心筋梗塞や狭心症といった冠動脈疾患に対する一次予防効果を得られるとする大規模試験の結果でした。つまり、高齢者の脂質異常に対しても、おくすりを継続していく意義が大きいことが報告されたのです。

脂質異常症は、それ自体、自覚症状に乏しい病気です。そのため、おくすりを飲み続けることに抵抗のある方もおられるでしょう。そんなときには、まず、かかりつけ医に相談してみることをお勧めします。

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