メニュー

新型コロナ検査結果をめぐる評価と疑問あれこれ

[2020.04.07]

新型コロナウイルス感染に関連して、「○○で感染者が出たから心配」とか「このあたりではまだ陽性患者が出ていないから安心」といった会話を耳にすることがありますが、私は、この発言に疑問を感じます。
たとえば、病気のあるものを陽性と正しく判定する能力を感度といいますが、感度100%の検査を、すべての国民に対して実施した結果、陽性者数に明らかな差がみられたのであれば、地域ごとの危険度を評価する尺度となるかもしれません。しかし、必ずしも感度の高くない検査を、限られた対象者にしか実施できていない現状では、人や物が常に流動化している現代社会において、国内に最初の感染者が確認された時点で、どの地域であっても、同様の感染リスクがあると考えるからです。
また、「検査の結果、陰性が確認された」との表現にも疑問を感じます。現在、実施可能な検査は、新型コロナウイルスに感染していない、すなわち、陰性であることを証明するものではないからです。つまり、陰性と診断された人でも、実際には陽性の可能性があるということです。
見えない相手に対する漠然とした不安は、根拠のないデマを信じる、または自身がそれを発信する力を増幅させます。そうした不安を理性的に抑制し、いま、私たちにできる感染予防および感染拡大防止対策は、徹底した手洗い、うがい、マスクの着用、そして、外出を控えることです。新型コロナウイルス感染者のうち、どれだけの人が、時間をかけた丁寧な手洗いを実践することができていたのでしょうか。今後、感染源として疑われる場所や感染経路についてだけでなく、手洗いの状況と罹患率との関係といったことなどについても、検証が進み、公表されることを願っています。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME