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拡張期血圧と老若差

[2020.12.03]

血圧を評価する際、よく、上の血圧、下の血圧と表現しますが、正しくは、それぞれ、収縮期血圧、拡張期血圧といいます。一般に、収縮期血圧は、治療介入の時期を評価したり、お薬を調整したりするのにあたり、臨床の現場で重視されていますが、拡張期血圧は、収縮期血圧と比べ、注目度が低い印象です。

拡張期血圧は、心臓が拡張しているときに、全身から心臓へ戻る血流の圧をいいます。心臓の拡張期は収縮期と比べて長く、30年ほど前までは、収縮期血圧以上に心血管病のリスクであると考えられていました。しかし、近年、高齢者の増加とともに、収縮期血圧こそが、心疾患や脳血管疾患、認知症発症リスクと関連するとの研究報告が増え、主役の座を奪われました。

拡張期血圧をどこまで管理する必要があるかについて、現時点で、明確な指針に乏しく、医療者の間でも意見が分かれるところです。ただ、拡張期血圧は、比較的若い方で高い傾向にあるのは間違いなさそうです。高齢になると、動脈硬化の進行に伴い、血管壁がうまく伸び縮みできなくなり、拡張期における血流の圧は低めに測定されるからです。

このように考えると、収縮期血圧が正常で、拡張期血圧が高い若年または中年の高血圧については、病的な意義に乏しく、経過観察としてよい場合が多いといえます。しかし、たとえば、甲状腺機能低下症などの病気が潜んでいる可能性もあり、一概に老若差だけで評価してしまうのは危険です。上の血圧、下の血圧のいずれが高くても、まず、血圧管理に詳しい医療機関へ相談してみることをおすすめします。

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