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ストレスと心筋症

[2020.10.22]

豪雨や地震で被災したり、長引く新型コロナ禍で外出自粛が続いたりするなど、近年、過剰なストレス下での日常を余儀なくされる場面が増えた気がします。そんな中、循環器の病気で心配なのが、たこつぼ心筋症です。

たこつぼ心筋症は、突然、心臓の動きが悪くなる疾患です。心基部とよばれる部分以外での心筋の高度収縮低下が出現し、超音波や造影剤を用いた放射線画像でみると、通常の心臓と異なり、収縮期の形態が蛸壺のようにみえることから、この名が冠せられています。胸痛や心電図変化などが、心筋梗塞や不安定狭心症などの急性冠症候群と似ていますが、病態や治療法が全く異なり、正しく鑑別することが必要です。

この心筋症の発症原因として知られているのが、身体的または精神的ストレスです。たとえば、阪神淡路大震災や新潟県中越地震での被災者に、たこつぼ心筋症と診断されたケースが報告されています。私自身も、これまで、激しい夫婦げんかや肉親の不幸などを契機にたこつぼ心筋症を発症した患者さんを診療した経験があります。安静や点滴等で改善することも多いですが、経過によっては、重症化する場合もあり、専門的な判断が大切です。

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