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クリスマスマーケットと窓の灯り

[2022.12.22]

若いころ、海外へ1人旅する季節は、主に冬でした。航空券が最も安くなる時期だったからです。

この時期のヨーロッパを訪ねると、クリスマスマーケットを楽しむことができます。暗がりの広場に、こぢんまりとした露店が軒を連ね、それぞれの店先に並べられた飾りや菓子が、裸電球のやわらかい光に照らされます。ドイツの小さな町のマーケットで目にしたクッキーやケーキは、数日間雪解け水しか口にしていない空腹の心を満たしてくれました。また、エストニアのタリンやフィンランドのロバニエミでは、北欧風のかわいらしいサンタクロースの人形やスノーボールに癒やされました。

日が沈み、マーケットを離れて町外れを歩くと、まるで夜汽車のように、民家の窓に映る灯りが点々と見えてきます。家の中では、子どもたちがマーケットで買ってもらった人形を飾っているのでしょうか。また、寒い夜に最高のごちそうであるシチューをつくっているところなのかもしれません。それぞれの窓にそれぞれの人生を思うとき、人間であることのぬくもりとかなしみを覚え、おとぎ話に登場するようなクリスマスマーケットの景色とともに、旅の記憶として刻まれるのです。

長引く新型コロナ禍で迎える今年のクリスマスが、みなさんにとって、健やかであたたかいものでありますように。

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