メニュー

カズーとカンカラ三線

[2020.07.16]

カズーをご存じですか。真鍮管に開いた穴にフィルム膜が張られた、手のひらサイズの楽器で、潜水艦のような形をしたものが一般的です。一端をくわえながらハミングのように声を発すると、膜が鳴り、トランペットのような音が響きます。演奏するのに特別な技術は必要なく、音程も、自らの発声で調整します。安価で手に入り、練習不要で好きな音楽を演奏できるこの楽器を、とても気に入っています。

また、沖縄を訪ねた際、そのデザインや音の響きに魅了され、数年前に購入したカンカラ三線も、大切にしている楽器のひとつです。三線の胴体として、皮張りされた木でなく缶が用いられ、一般に知られている沖縄三線とは違う音色を楽しむことができます。

カズーとカンカラ三線に共通しているのは、いずれも暗い歴史が関係していることです。カズーは、オールドアメリカを象徴するイメージですが、元々アフリカ大陸の楽器で、黒人奴隷によってアメリカ大陸へもたらされたそうです。また、カンカラ三線は、第二次世界大戦後、米軍から支給された食料缶や落下傘の紐などを用いて組み立てられたのが最初とされています。これらの楽器が奏でる音には、抑圧や暴力に対する怒りや悲しみ、自由や平和へのよろこびや祈りが織り込まれている気がします。

長引く新型コロナ禍にあって、音楽に耳をすませる心のゆとりをもって、健康な暮らしを模索していきたいものです。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME