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イナーシャと医療

[2021.05.27]

最近、医学雑誌等で、イナーシャという言葉を目にするようになりました。

イナーシャとは、慣性を意味し、外からの力の影響を受けず、そのままの状態にある性質をいいます。惰性と言い換えることもできるようです。

このうち、臨床イナーシャやクリニカルイナーシャと呼ばれるものは、たとえば、医療者側からみて、治療目標に達していないのに、いままでのおくすりを漫然と継続処方していたり、原因検索しないまま放置していたり、患者さんの内服状況を確認しないまま、同じおくすりの量を出し続けていたりすることを指します。こうしたイナーシャは、医療経済的に問題となるだけでなく、患者さん自身の身体を害することにつながり、医療者として、あってはならないことです。

また、患者さん側のイナーシャも、治療における大きな壁となります。食生活の乱れや運動不足、喫煙、過度の飲酒など、いまの生活習慣を変えないといけないとわかっていても、それができないままでいると、将来、どんなおくすりを使っても効かない、あるいは、取り返しのつかない状態になってしまう危険もあります。

このように、医療におけるイナーシャは、健康や生命と常に隣り合わせなのです。

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